【GAZE Vol.2】「待つ」のではなく、「自ら掴む」。
2026.02.16| Cover Story
山﨑七海、その無垢な瞳の奥にある『確信』
「負けず嫌いすぎて、上手くできないと悔しくて泣いちゃうんです」
その少女は、悪びれることもなくそう言った。
山﨑七海。
スクリーンの中で彼女が放つ輝きは、どこか「危うさ」を孕んでいる。
守ってあげたくなるような可憐な佇まい。しかし、その瞳の奥には、決して他者に媚びない野性の光が宿っている。
彼女のキャリアを語る上で外せない事実がある。
それは、出演してきた映画の多くが、オファーを待つのではなく**「オーディションで自ら掴み取った役」**であるということ。
運や大人の事情ではなく、彼女は実力で運命のドアをこじ開けてきた。
その生存本能(サバイバル・インスティンクト)は、どこから来るのか。
私たちは、荒野に咲く花のような彼女の素顔に迫った。
Phase 1:人見知りの少女が「覚醒」した日
「今の自分を一言で表すなら?」
そう問うと、彼女は少し困ったように、けれどはっきりと答えた。
「『負けず嫌いな頑固』だと思います」
「できない自分に対して『なんで出来ないの』と自分を責めてしまう事もあります。たまには『まぁいっか』ってしてあげればいいんですけど、なかなか出来なくて……苦戦中です(笑)」
ストイックゆえの涙。それは子供の癇癪ではなく、表現者としての業(ごう)に近い。
意外にも、この世界に入ったきっかけは「人見知りを治したいから」という理由だった。しかし、あるオーディションが彼女の人生を一変させる。
小学校6年生の時、映画『なぎさ』のオーディションでの出来事だ。
「その日は大泣きするシーンをやったのですが、最初はまだ自我があって、恥ずかしさが残っていました。
そこに古川原監督が『もっともっと』と声をかけてくださって……私は負けず嫌いなこともあって、もっと声をあげて大泣きをしたんです」
その瞬間、何かが弾けた。
恥ずかしさが消え、感情が爆発する。
「レッスンでもなかなか声が出なかった私が、その感情を忘れて大きな声を出して演じることができた。
この日に私はお芝居の本当の楽しさを知りました。そこからただひたすらお芝居をすることが楽しくて、いつの間にかこれからも演じ続けたいと思うようになっていました」
それは、少女の中に眠っていた「女優」が覚醒した瞬間だった。
Phase 2:オーディションという「戦場」を楽しむ
以来、彼女は数々のオーディションという「戦場」を勝ち抜いてきた。
審査員の前に立つとき、彼女はどんなスイッチを入れているのか。
「もちろん『自分を見てほしい』『受かりたい』という緊張はあります。でも一番忘れないようにしている事は、**『全力で楽しむ』**事です」
勝ちたいからこそ、楽しむ。
楽しむからこそ、誰よりも強い。
「『全力で演じて全力で楽しむ』。こう思うだけでなんとなく勇気が出る感じがします。
残念な結果だった時は悔しくてしょうがないけど、全力で挑めた事に悔いはありません。後悔しないように頑張ろうと思ってドアを開けます」
彼女にとって「芝居」とは、単なる仕事ではない。
「色々な感情にさせてくれる原動力」であり、多くの出会いを繋げてくれた架け橋だ。だからこそ、彼女は待たない。自らの足で、役を迎えに行く。
Phase 3:孤独な壁を登り続けて
役と向き合うとき、彼女は孤独だ。
心に傷を負った少女、秘密を抱えた役柄……。
「現場に入っている時は、心が締め付けられる感覚になることがあります。無自覚にその役として生きているからだと思います」
だが、彼女はプロフェッショナルとして、私生活の「山﨑七海」と「役」の境界線を明確に引く。
そんなギリギリの精神状態の中で、彼女を支えているのは監督からの言葉だという。
「『演じてくれてありがとう』。この言葉が私にとっての支えです。
沢山の方の思いを背負って演じているからこそ、大きなプレッシャーを感じてしまう事がありました。
クランクアップの時にその言葉をいただくと、感じていたプレッシャーが抜けていき、その時私はまた一つ自分に自信を持つ事ができます」
Phase 4:見つめる先は、頂(いただき)
最後に、GAZE(視線)の先にある景色について聞いた。
今、彼女は何を見ているのか。
彼女が語ったのは、果てしない向上心と、明確な野心だった。
「私が見ている景色は、何気ない日常を送っている反面、『役者』としての大きな壁を登っている最中……ただひたすら上の景色を見ていると思います」
「この壁を登り切る事は簡単じゃないし、いつが終わりなのかもわからない。
でも、上を向いてひたすら登り続けたいと思います」
家で椅子に座り、目を瞑って深呼吸をする静かな時間。
散歩しながら写真を撮り、小さな発見に笑う日常。
そんな等身大の時間を大切にしながらも、彼女は壁を登り続ける。その先にある「景色」を見るために。
「挑み続けていって、いつか『日本を代表する実力派女優』と言われるような女優になります」
山﨑七海。
彼女はもう、誰かの後ろを歩く少女ではない。
自らの足で大地を踏みしめ、自らの手で未来を掴み取る。
その「無垢な確信」が、私たちを惹きつけてやまないのだ。
山﨑 七海(Nanami Yamazaki)
2008年生まれ、東京都出身 。映画『渇水』で数々の新人賞にノミネートされ注目を集める 。最新作『未来』(2026年5月8日公開)では物語の鍵を握る少女・章子役を熱演 。さらに、中島哲也監督作『時には懺悔を』(2026年公開予定)など、待望の出演作が続々と控える 。これからの日本映画界を背負う若き実力派。
映画「未来」公式HP
Photo: Nobby.K
Styling: 甲斐修平
Hair & Make: 中田真代
Costume Cooperated by:BOCBOKのジャケット3万800円、パンツ2万2000円(共にPR01.TOKYO)
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